四季の移り変わりを豊かに表現する美しい日本語。
情景が目に浮かぶような春の言葉たち。
<春の美しい日本語5選>
朧(おぼろ)
春の夜、ぼんやり霞んで、はっきりしない様子をいいます。朝や日中は「霞(かすみ)」、夕暮れ後は「朧」と使い分けられてきました。
事始め(ことはじめ)
物事に初めて着手すること、または「事八日(ことようか)」という農事の行事。陰暦2月8日を「事始め」、12月8日を「事納め」とされることが一般的ですが、逆に行う地域もあります。
囀り(さえずり)
鳥などがさえずること、またはその声をいう春の季語です。 さえずりは、異性への求愛や縄張りの主張です。さえずりに対する鳴き方は、一年中出される「地鳴き」です。
佐保風(さほかぜ)
佐保の辺りを吹き渡る風、または東風。「佐保」は、奈良市の地名です。昔は東から春が来ると信じられ、平城京の東にある佐保山に春の神が住んでいると考えていました。
摘草(つみくさ)
早春の野原で若菜や若草を摘むことをいいます。かつて食用の野草を採集する風習があり、古くから摘草を題材とする歌が詠まれてきました。
参考文献:
『話したい、使いたい 心ときめくことばの12か月』 山根基世 (監修), 花時間編集部 (編集) KADOKAWA/エンターブレイン
『手紙にそえる季節の言葉 365日』 山下景子 (著), 西 淑 (イラスト) 朝日新聞出版
『覚えておきたい 美しい大和言葉』 日本の言葉研究所 (著) 大和書房
『精選版 日本国語大辞典』 小学館
『日本大百科全書』 小学館
『大辞泉』 小学館
『マイペディア』 平凡社