四季の移り変わりを豊かに表現する美しい日本語。
情景が目に浮かぶような春の言葉たち。
<春の美しい日本語5選について>
青やぐ(あおやぐ)
草木の葉が茂って、青々と色づく様子。「やぐ」は接尾語です。「華やぐ」などのように、そのような状態になることや、そのようにふるまうことを表します。
草若葉(くさわかば)
春に草の芽が新葉になることをいいます。草の若葉は、木々の若葉よりも早く萌え出ます。若い芽を過ぎて濃い葉に変わるまでの、透明感のある美しい葉色です。
雫れ種(こぼれだね)
人がまいたのではなく地面にこぼれ落ちた種子。自然に草が生えたり、花が咲いたりすることがあります。春はそのような草花の芽が土から顔をのぞかせます。
春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)
春の風がのどかに吹く様子。「駘」は馬の轡(くつわ)が外れること、「蕩」は水が漂ったり、ゆったりする様子を表します。雰囲気や人の性格や態度にも使われます。
野遊び(のあそび)
野に出て、草を摘んだりして遊ぶことをいう春の季語です。現在のピクニックに当たる行事で、野山に出かけて、飲食を共にしながら楽しむ習慣が昔にもありました。
参考文献:
『話したい、使いたい 心ときめくことばの12か月』 山根基世 (監修), 花時間編集部 (編集) KADOKAWA/エンターブレイン
『手紙にそえる季節の言葉 365日』 山下景子 (著), 西 淑 (イラスト) 朝日新聞出版
『精選版 日本国語大辞典』 小学館