四季の移り変わりを豊かに表現する美しい日本語。
春の情景が目に浮かぶような言葉たち。
<春の美しい日本語5選>
八十八夜(はちじゅうはちや)
立春から数えて88日目のことをいいます。太陽暦では5月2日頃にあたります。この頃になると、ようやく霜が降りなくなり、本格的な農作業の目安とされました。
茶摘み(ちゃつみ)
春の季語です。八十八夜前後は茶摘みの適期で、やわらかな新芽を摘むことができます。八十八夜に摘んだ一番茶を飲むと長生きする、縁起がいいとされてきました。
玉繭(たままゆ)
2匹以上のカイコが共同で1つの繭を作ったものです。玉繭は1匹で作った繭と比べて、繭の形状がいびつながら、独特の風合いの絹織物ができます。
麦秋(ばくしゅう)
初夏の、麦を刈り入れる季節をいいます。麦秋は旧暦4月の別名です。麦の穂が黄金色に熟すのは5月から6月頃で、麦にとってこの時期が実りの秋です。
麦嵐(むぎあらし)
麦秋に野を吹く強い風。「麦の秋風」ともいいます。実った麦の穂が吹き渡る風でざわざわと音を立てながら揺れ、黄金色に輝く光景が目に浮かぶような言葉です。
参考文献:
『話したい、使いたい 心ときめくことばの12か月』 山根基世 (監修), 花時間編集部 (編集) KADOKAWA/エンターブレイン
『日本美人の七十二候』 山下景子 (著) PHP研究所
『覚えておきたい 美しい大和言葉』 日本の言葉研究所 (著) 大和書房
『英語にできない日本の美しい言葉』 吉田 裕子 (著) 青春出版社
『世界大百科事典』 平凡社
『大辞泉』 小学館
『日本大百科全書』 小学館