四季の移り変わりを豊かに表現する美しい日本語。
暑さが去りつつあり、虫の声や朝晩の涼しさに秋を感じ始める頃。
<秋の美しい日本語5選について>
秋高し(あきたかし)
秋、大気が澄んで空が高く感じられること。唐の詩の一節「秋高くして塞馬肥ゆ」に由来します。匈奴の軍が馬を太らせて攻めてくることを警戒する言葉でした。
野分(のわき)
野の草木を分けるように吹き抜けることから、秋の暴風のことをいいます。現在でいう台風のことです。また、秋から冬にかけて吹く風をいうこともあります。
団扇置く(うちわおく)
秋になり、団扇がいらなくこと。秋の季語です。現在も団扇は優しい風をもたらしてくれるものですが、昔は虫を追ったり涼をとったりするために、夏の大事な道具でした。
二百十日(にひゃくとおか)
立春から数えて210日にあたる日です。現在では、9月1日頃にあたります。稲の収穫が近づく中、台風の襲来が多い時期とされ、農家などでは警戒してきました。
虫聞き(むしきき)
秋の夕暮れに、野山に集まってマツムシやスズムシなどの虫の鳴き声を楽しむことです。平安時代に始まり、江戸時代には虫聞きの名所があったといいます。
参考文献:
『日本美人の七十二候』 山下景子 (著) PHP研究所
『ビジュアル大和言葉辞典』 大和心研究会 (著) 大和書房
『覚えておきたい 美しい大和言葉』 日本の言葉研究所 (著) 大和書房
『美しい日本語の辞典』 小学館辞典編集部 (編集) 小学館
『精選版 日本国語大辞典』
『大辞泉』 小学館