ノイバラは代表的な日本の野生種のバラ。
現在親しまれている沢山の園芸バラの祖先となっている。
<ノイバラ(野茨)について>
ノイバラ(野茨)は日本と中国に分布し、日本のバラの代表的な原種です。
日本では沖縄以外の日本各地に自生し、山野でも普通に見られます。
日本でバラが歴史に登場するのは比較的古く、『万葉集』に登場する「宇万良(うまら)」はノイバラのことだと考えられます。
日本では特別な価値を持たなかったノイバラを最初に学会に紹介したのは、スウェーデンの医師であり植物学者のツンベルクです。
ツンベルクは、ノイバラの学名を「Rosa multiflora」と命名しました。
ノイバラはヨーロッパに渡り、ノイバラに由来する園芸バラは数多くあります。
日本に自生するバラの中で最も園芸バラの誕生に貢献しました。
ノイバラを片親とする交配バラはポリアンサ系、ノイバラの近縁種のテリハノイバラの系統はウィクライアナ系のバラです。
ポリアンサ系統は、中輪房咲きのフロリバンダ系統につながります。
5月から6月にかけて、枝先に枝先に多数の花を房状につけ、多数の白い花を咲かせます。
育種では、ノイバラが持っている房咲きやつる性が活かされました。
また、丈夫な性質のため、日本ではバラを接木する台木としても利用されます。
参考文献:
『バラの誕生』 大場 秀章 (著) 中央公論社
『図説バラの世界』 大場 秀章 (著) 河出書房新社
『バラ大図鑑』 上田 善弘 (監修), 河合 伸志 (監修), NHK出版 (編集) NHK出版
『ガーデニング植物誌』 大場 秀章 (著) 八坂書房
『花の品種改良の日本史』 柴田 道夫 (編集) 悠書館