ソメイヨシノの後継者?
将来の日本のサクラ風景を変えるかもしれないジンダイアケボノ。
<ジンダイアケボノ(神代曙)について>
ソメイヨシノと同様にエドヒガン系のジンダイアケボノ(神代曙)。
東京都調布市にある神代植物公園で発見されたサクラです。
花はソメイヨシノに似ていますが、花弁の先が濃い紅色で、全体的に紅色のグラデーションがかります。
花付きが良く、ソメイヨシノを更に鮮やかさを加えた印象があります。
開花時期は、ソメイヨシノより数日程度早く咲きます。
ジンダイアケボノが誕生した経緯は、少し特殊です。
1912年(明治45年)に、日本からアメリカへソメイヨシノが送られました。
その実生が育成され、誕生したサクラが「アケボノ(Akebono)」です。
今度は、アメリカから日本へアケボノが逆輸入されました。
日本では他にアケボノ(曙)という品種があったため、「アメリカ」と名付けられました。
神代植物公園でアメリカを園内に植栽したところ、ある日、公園の職員がアメリカと異なる特徴を持つ花を発見しました。
調査の結果、新しい園芸品種であることが判明し、1991年(平成3年)に新品種として登録されました。
品種名は、神代植物公園で発見され、元の品種名が「アケボノ(曙)」だったことから、「ジンダイアケボノ(神代曙)と命名されました。
このジンダイアケボノの原木は、神代植物公園の園内にあります。
現在、日本国内に植えられるサクラの大半を占めるソメイヨシノは、伝染病の「てんぐ巣病」に罹りやすいことが知られています。
この病気の拡大を防止するために、日本花の会では2005年度( 平成17年度)からソメイヨシノの配布を中止しています。
ソメイヨシノに代わる品種としてサクラとして、ジンダイアケボノが推奨されています。
ジンダイアケボノは、ソメイヨシノに似た特徴を持ちながら病気に強いという長所を持っています。
参考文献:
『桜でいやされるための図鑑』 大貫 信彦 (著) 誠文堂新光社
『神代植物公園ガイドブック』 神代植物公園サービスセンター(編) 東京都公園協会
『神代植物公園』 浅野三義 (著), 鳥居恒夫 (著) 東京都公園協会
『東京の森を歩く』 福嶋 司 (著) 講談社
参考サイト:
公益財団法人日本花の会 トピック(http://www.hananokai.or.jp/sakura/sakuramihonen-topic/#list)