古い時代から長く日本人に親しまれ続けているツバキ。
徳川将軍にも愛好されたことでも知られている。
<ツバキ(椿)について>
ツバキは『古事記』や『万葉集』に登場するように、古くから日本人に愛でられてきました。
実や木材が食料や工芸品、染色などの材料として利用され、人々の生活に馴染み深い植物でした。
室町時代からは、茶道の発展とともに茶花として欠かせない花となりました。
豊臣秀吉が築城した京都の伏見城は、数多くのツバキが植えられ、「ツバキの城」としても知られていました。
園芸植物として広く普及するようになったのは、江戸時代からです。
2代将軍徳川秀忠や3代将軍家光がツバキを好み諸大名に広がったことで、一般庶民まで流行しました。
ツバキは、鎖国時代の長崎からヨーロッパに運び出されました。
19世紀から20世紀にツバキブームを巻き起こした、オペラ「椿姫」が有名です。
日本のツバキは寒さに強く、花の少ない冬に咲くため、欧米で評価されました。
ツバキの語源は、「厚葉木(あつばき)」または「艶葉木(つやばき)」から転じたとされます。
「椿」は日本で作られた漢字で、中国では「山茶」といいます。
参考文献:
『日本園芸界のパイオニアたち』 椎野 昌宏 (著) 淡交社
『江戸の花競べ-園芸文化の到来』 小笠原 左衛門尉亮軒 (著) 青幻舎
『色分け花図鑑 椿』 桐野 秋豊 (著) 学習研究社
『花と日本人―花の不思議と生きる知恵』 中野 進 (著) 花伝社
『江戸の園芸・平成のガーデニング』 小笠原 亮 (著) 小学館
<ツバキ(椿)の基本情報>
別名 | ヤブツバキ(藪椿)、タイトウカ(耐冬花)、ヤマツバキ、カメリア |
学名 | Camellia japonica |
英名 | Camellia |
分類 | ツバキ科ツバキ属 |
開花時期 | 11月~12月または2月~4月 |
花言葉 | 「完全な愛」「控えめな優しさ」 |